こんにちは、なんでも屋の夫です。
今回は、我が家で採用する分電盤とHEMSの導入方法についてご紹介できればと思います。
1. HEMS導入の目的と効果
リノベーションを機にスマートホーム化を図り、HEMS(Home Energy Management System)を導入する目的は、家庭の電力使用量を「見える化」して賢く管理することにあります。
HEMSを導入すれば、家全体でいつ・どのくらい電気を使っているかリアルタイムで把握でき、ムダ遣いの発見や省エネ意識の向上につながります。
また、電力使用量の推移をモニターすることで、電気代の節約効果を検証したり、太陽光発電システムや蓄電池があればその自家消費率を高める工夫もできます。
スマホ連携型のHEMSであれば外出先からでもチェック可能なため、「つけっぱなし」の不安解消や、電力需給逼迫時の節電対策といった効果も期待できます。
2. フレキシードを選んだ理由(見た目・納まり重視)
HEMSを導入するにあたり悩ましいのが機器の設置場所や見た目です。
従来型のスマート分電盤はモニターや通信ユニットを内蔵したものもありますが、デザイン面で生活空間になじみにくく、壁から出っ張った無骨な印象になりがちでした。
そこで今回はパナソニックの新型住宅分電盤「FLEXIID(フレキシード)」を採用し、分電盤そのものの意匠性を高めることにしました。
フレキシードはドア付き分電盤として業界最薄の奥行100mmを実現し、水平垂直基調のフラットデザインで天井や壁面に隙間なく美しく納まります。
表面には特殊なシボ加工が施されマットで上質な質感となっており、汚れも付きにくく掃除もしやすい配慮がされています。
フレキシード分電盤の外観(左:閉扉時、右:開扉時)。薄型でフラットなデザインは空間の「背景」となることを目指しており、リビングやキッチンなど見える場所にも設置しやすい。
![]() © Panasonic Corporation |
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従来は「分電盤は目につかない場所に隠す」ことが多かったですが、フレキシードならインテリアに調和するデザインなので敢えて見える場所への設置も可能です。
実際、天井付近や収納内だけでなく、壁面に家具のように横並び・縦並びに複数設置することもでき、空間に溶け込むレイアウトを柔軟にプランニングできます 。
こうしたデザイン性・納まりの良さを重視した結果、分電盤自体はフレキシードの感震ブレーカー付タイプを選定しました。
一方で、2025年4月現在、フレキシードにHEMS機能を内蔵させる商品ラインナップが存在していないのが難点です。
そこで、HEMS機能は分電盤に内蔵せずとも、後述の通り別途デバイスを組み合わせることで十分実現できるため、美観と機能性の両立を図っています。
3. スマートメーターの申し込み手順とポイント
HEMSで家全体の電力を計測するには、各家庭の電力量計が「スマートメーター」であることが前提となります。
日本ではここ数年で急速にスマートメーターへの交換が進んでいますが、まずは現在設置されているメーターを確認しましょう。
円盤が回る旧式メーターの場合は、管轄の電力会社に依頼すれば無料で交換してもらえます。
次に、スマートメーターの計測データを宅内に送信してもらうため、電力会社に「Bルートサービス」の利用申請を行います。
各地域の大手電力会社(東京電力、関西電力など)に申請が必要で、契約中の電力会社が新電力であっても地域の送配電事業者に申し込みます 。
申請は各社のWebサイトや郵送書類で行い、必要事項(ご家庭の住所やお客さま番号、機器の型式など)を記入します。例えば関西電力では申込書の「通信規格」で「920MHz帯特定小電力無線方式(Wi-SUN)」を選択するよう注意喚起があります。
✅申し込みから発行まで1〜2週間程度かかるので余裕を持って手続きを進めましょう。
なお、スマートメーターの設置自体やBルートサービスの申込・利用料に費用は一切かかりません。申請後、電力会社から「Bルート認証ID」と「Bルートパスワード」が発行されます。
✅これらは書面郵送やメール送信など会社により通知方法が異なりますが、大切に保管してください。
HEMSデバイス(今回で言えば後述するNature Remo E2)側の設定時にこのID・パスワードを入力することで、スマートメーターとの連携が可能になります。
なお、マンションなど集合住宅で一括受電契約となっている場合、各戸でスマートメーターのデータを取得できないケースもありますので事前に確認が必要です 。
スマートメーター手続きの流れまとめ
- メーター種別の確認
現在設置中の電力量計がスマートメーターかチェック。旧式の場合は電力会社に無料交換を依頼。
- Bルートサービス申込
お住まい地域の電力会社にHEMS用のデータ送信サービスを申し込み。Webまたは書面でID・パスワード発行を依頼
※通信規格は「920MHz帯(Wi-SUN)」を選択。
- ID・パスワード受領
1〜2週間後、電力会社から認証ID/パスワードが通知される。届いたら紛失しないよう保管し、次のデバイス設定で使用。
これで下準備は完了です。あらかじめ手続きを済ませておけば、あとの機器設置をスムーズに進められます。
4. Nature Remo E2の特徴
HEMS機器として採用したのが、Nature社の「Nature Remo E2」です。Remo E2はコンセントに挿すだけで使えるスマホ連携型のHEMSデバイスで、宅内のスマートメーターと無線接続して電力データを収集します。
据え置きのモニターや分電盤内蔵機器と違い、配線工事や資格を持つ電気工事士による設置作業は一切不要です。
本体サイズは約67×43×38mmと手のひらに収まるコンパクトさで、コンセントに挿しても隣の差込口の邪魔にならない設計です。
設置場所も自由度が高く、例えばリビングのコンセントに挿しておけばインテリアの一部として違和感がなく収まります。
![]() © Nature Inc. |
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壁のコンセントに挿したNature Remo E2。本体が小型なうえ、挿すだけで設置できる手軽さが魅力。配線工事が不要なので電気工事士の資格がなくても安全に導入できます。
Remo E2のセットアップ手順もシンプルです。
まず、スマートフォンに専用アプリをインストールし、Remo E2本体を家庭のWi-Fiネットワークに接続します。
次に、先ほど受け取ったスマートメーター用のBルートIDとパスワードをアプリ上で入力し、Remo E2とスマートメーターをペアリングします。これにより、メーターから送信される全館の電力使用データがリアルタイムにRemo E2へ届き、アプリで閲覧できるようになります。
Remo E2は無線通信にスマートメーター用のWi-SUN(920MHz帯)を用いています。
✅そのため、設置場所はスマートメーターから極端に離れすぎない位置が望ましく、鉄筋コンクリートの壁越しに遠距離になると通信が不安定になる可能性があります。
戸建てであればほとんど問題ありませんが、マンションの場合はメーター設置場所(集合盤)が玄関ホール等にまとまっていることも多いため、できるだけメーターに近い部屋のコンセントに挿す、あるいは電波状況によっては設置場所を工夫する必要があります。
この点さえ注意すれば、Remo E2の導入に難しい設定はありません。スマホアプリのガイドに従って数分で初期設定が完了し、すぐにHEMSとしての機能を使い始めることができます。
Nature Remo E2でできること
Nature Remo E2は「スマホHEMS」と称される通り、専用アプリ上で家庭のエネルギー使用状況を直感的に把握できるよう工夫されています。
過去の電力使用量データはグラフ表示で確認でき、現在の電力の流れもリアルタイムに可視化されます。
例えば、太陽光発電や蓄電池、EV充電設備(V2H)などを設置している場合、それらと連携させることで「今、太陽光で○W発電し、そのうち○Wを家で使用、余剰○Wを充電中」といった電力フローが一目で分かります。
Remo E2自体がECHONET Lite規格のハブとして機能し、メーカーを問わず対応するエネルギー機器と接続・制御が可能なので、将来的に設備が増えても一括して管理しやすい拡張性があります。
さらに、Amazon Echo Showとの連携機能もあり、音声コマンドで現在の消費電力や電気料金目安を画面表示・読み上げさせるといったスマートホーム連動も楽しめます。
発電・蓄電設備と連携すれば電力の流れをリアルタイム監視でき、過去の使用量データもグラフで確認可能。
専用モニターを設置しなくても、手元のスマホ一つで家中のエネルギー状況を把握できます。
5. 全体使用量の見える化と個別機器計測の違い
今回想定する組み合わせ(Nature Remo E2によるHEMS)では、家庭「全体」の電力使用量を把握することに重点が置かれています。
スマートメーターから得られるデータは家全体の合計値であり、どの機器が何ワット使っているかといった個別機器ごとの消費電力までは分かりません。
(分電盤の分岐回路ごとに消費電力をモニタリングしたい場合は、フレキシードではなくスマート分電盤が必要になります)
一見デメリットにも思えますが、実際には全体の使用推移が分かるだけでも多くの有用な情報が得られます。
まず、家庭のベース電力(何もしていない時に常時消費している待機電力など)が把握できます。
深夜や外出時でも意外と消費している場合は、どこかに無駄な待機電力が潜んでいるかもしれません。また、冷蔵庫やエアコンなど大型家電が稼働するタイミングでは全体使用量のグラフにハッキリとした山ができます。
個別機器を特定する直接的な数値は出なくとも、生活パターンと突き合わせれば「このピークはエアコンのオンだな」「深夜帯に消費が増えているのは冷蔵庫の自動霜取り運転かも」などと見当がつきます。
逆に言えば、家中の主要な電気機器をすべて個別に監視しようとすると多数のセンサーやスマートプラグが必要となり大掛かりですが、全体把握であればデバイス1台で実現できる点は手軽で魅力です。
実用面では、例えば電気代プランの見直しにも役立ちます。
30分ごとの使用実績データを眺めれば、昼間の使用量が多い家庭なのか、あるいは夜間メインなのか傾向がつかめるため、よりお得な電力契約プランへの切り替え検討材料になります。
また、HEMSで日々の電力量(kWh)や電気代目安が数値化されると、節電のモチベーション維持にもつながります。
「今日は昨日より○kWh多いからエアコン設定温度を見直そう」といった具合に、ゲーム感覚で省エネに取り組めるのも見える化の効果と言えるでしょう。
6. まとめ-DIY視点でスマートホームを快適に
以上のように、デザイン性に優れたフレキシードと、手軽に導入できるNature Remo E2を組み合わせることで、見た目と機能性を両立したスマートホームを実現できます。
分電盤はすっきり美しく収まり、部屋の景観を損ねません。
一方、HEMS機能はコンセントに挿すデバイス1つで後付けでき、工事のハードルもありません。
実際の導入手順もスマートメーターの申請を済ませておけば難しくなく、DIY感覚で家庭のエネルギー管理を始められます。
リノベーション検討中の方や技術系DIY愛好家の方にとって、「見える化」された電力データは暮らしを最適化する強い味方です。
今回の記事が、美観も損なわないスマートHEMS導入を検討中の方々の参考になれば幸いです。
電気の使い方が分かる生活は、きっと快適さと安心感をもたらしてくれるはずです。
7. 参考URL
分電盤も変わったな…上質デザインの住宅分電盤「FLEXIID(フレキシード)」パナソニックより発売 | GetNavi web ゲットナビ